バランス良く普段の食事を心掛けている人が、いつの間にか老けた髪に!
実は、髪の成分であるタンパク質が知らない間に不足してしまう事があるのです。
それは、目の酷使、飲酒が原因です。
仕事でパソコンの液晶モニターを長時間に渡って見なくてはいけない方、普段、スマホを長時間に渡って使っている方など、目を酷使している方、知らない間に老け髪を招いてしまっています。
そして、お酒好きなあなたも知らず知らずのうちに老け髪を招いてしまっているかも知れません。
でも安心してください。改善方法があるのです。
まずは、アミノ酸と髪の関係から説明していきます。
シスチンは、ケラチンの主成分。髪はケラチンから出来ています。
「ケラチン」とは髪を構成する成分の約99%を占めるタンパク質です。99%を占めるからには、薄毛や脱毛など髪の悩みを解決するためにはとても重要な存在ということになります。ちなみに髪の他に爪や皮膚の角質層もケラチンで出来ています。
このケラチンは、18種類のアミノ酸が結合してできています。構成比率は下記の表のようになっています。
アミノ酸 | 構成割合 |
---|---|
シスチン | 15% |
グルタミン酸 | 14% |
ロイシン | 10% |
アルギニン酸 | 9% |
セリン | 8% |
アスパラギン酸 | 7% |
スレオニン酸 | 6% |
ブロリン | 5% |
グリシン | 5% |
チロシン | 5% |
バリン | 4% |
アラニン | 3% |
フェニールアラニン | 3% |
リジン | 2% |
メチオニン | 1% |
トリプトファン | 1% |
ヒスチシン | 1% |
ヒドロキシプリン | 1% |
小中学校の家庭科の授業で習って聞き覚えのある名前も多く含まれていますね。
ケラチンは、この18種類のアミノ酸を合成して体内で作られます。
合成するときに、18種類のアミノ酸が一つでも欠ければ、ケラチンが作られません。
もちろん、量が不足しても、材料不足でケラチンが作られません。
そして、この中で不足しがちな材料というのが、15%を占める成分である「シスチン」なのです。
なぜケラチンの主成分であるシスチンが不足するのか?
普段の食事で、十分に摂っているのにも関わらず不足してしまうのがシスチンです。
その原因は、「目の酷使」と「飲酒」と言われています。
目の酷使がシスチン不足を招く
シスチンは目の網膜の細胞を修復するために使われています。
パソコンやスマホを長時間使うような生活はブルーライトの影響などで網膜が傷つき、眼精疲労を起こします。
その修復にシスチンが大量に使われるのです。
そして、体内にあるタンパク質の材料(アミノ酸)は人間が生きているために重要な部分から優先的に使われるので、当然髪よりも目の修復が優先されます。
これが、目の酷使がシスチン不足を引き起こす原因の一つです。
いつも目の疲れを感じているような場合は、かなり不足している可能性があります。
飲酒がシスチン不足を招く
お酒を消化する際にシスチンの原料が大量に使われます。お酒を飲むとトイレに行きたくなりますよね。
それは、体内に吸収されたアルコールが肝臓で分解されて尿となって排出されるからです。
アルコール分解の過程で、シスチンの原料になるシステインが使われます。
だから、お酒を浴びるように飲むと、原料となるシステインが大量に消費されシスチンが作れなくなります。
これが飲酒が招くシスチン不足です。
また、お酒の飲み過ぎなどで肝臓に負担がかかりすぎると、肝臓の保護や修復のためにメチオニンというアミノ酸が大量に使われます。このメチオニンもまたシスチンの原料となるものです。
飲酒はこのようにシスチンの材料不足を招き、結果として、シスチン不足を招くやっかいな行為なのです。
不足気味のシスチンを補うと髪が生えてきたという研究結果
シスチン不足が髪に悪影響だということを説明しましたが、
それならシスチンを補ったら本当に薄毛や抜け毛を改善できるのか、ということが気になります。
ドイツで行われた研究に興味深いものがあります。
髪が全体的に薄くなる「びまん性脱毛症(hair loss of the diffuse type)」という薄毛の症状があります。特に女性に多い症状です。
この患者グループに毎日一定量のL-シスチンをレチノール(ビタミンA)、ゼラチンと一緒に経口投与したら、ヘアサイクルの休止期率が減少し、成長期率が増加、髪の密度も増加したというのです。
ヘアサイクルとは、毛髪が成長しはじめてから抜け落ちるまでの周期の事をいい、個人差はありますが女性で約5~6年の期間があります。
ヘアサイクルは、髪の成長過程を3つの期間に分けて髪が生えてきて伸び続ける「成長期」、髪の成長が終わってゆく「退行期」、髪が伸びなくなりやがて抜け落ちてゆく「休止期」という3つの期間があります。
この周期を経て髪が抜けるのは自然なことで、健康な状態なら髪全体の80~90%が成長期にあたり、その間髪は太く長く成長していきます。
しかし何らかの原因でヘアサイクルが乱れると、成長期の途中で休止期に入ってしまう髪が増え、細いままの髪が目立つようになって薄毛、抜け毛につながってしまうのです。
この研究結果のように、成長期の髪が増えて休止期の髪が減ったということは、抜ける髪が減って生えてくる髪が増えたということですね。
このように、不足しているシスチンを補うことで、薄毛を改善できるようです。
シスチンを補う方法
シスチンが含まれている食べ物を摂取するのと、シスチンの原料になるメチオニン、もしくはシステインが含まれているものを摂取する方法があります。
システインは、システイン→シスチンという流れでシスチンに変わります。
メチオニンは、メチオニン→システイン→シスチンという流れでシスチンに変わります。
シスチンは、穀物類に多く含まれているので、きちんとした食生活なら問題ないと思います。
問題は、メチオニンの方で、これは必須アミノ酸ということで、体内では作れないものです。
だから、メチオニンが含まれている食品を摂取することを心掛けるのがいいのではと思います。
たとえば、卵白、魚介類というものになります。
シスチンだけでなく18種類のアミノ酸をバランスよく摂取することが重要
シスチンの摂取が髪にとって大切だということはおわかりいただけたでしょうか?
でも、シスチンだけ採っていればいいわけではありません。
前半で説明したようにケラチンの材料は18種類のアミノ酸です。この18種類が一つも欠ける事なく、そして量が不足する事なく摂取して初めてケラチンが作られるからです。ドイツの実験では、シスチンと同時にゼラチンを摂取するようにしていますが、ゼラチンにシスチン以外の他のアミノ酸が含まれています。
そして、ケラチンの合成は、毎日、行われるものです。髪に十分に行きわたるようにするには、毎日アミノ酸を摂取することが大切です。
自分では十分に摂っていると思っていても、飲酒や目の酷使などの生活習慣によっては、アミノ酸が肝臓や目の細胞などの修復などに使われて、髪に使う順序が後回しになってしまっています。
生活習慣がそういうものであれば、慢性的に不足しているかも知れません。
しっかりとした量を食べるように心がけましょう!